前回、出張で参加できなかった黒塗り工程の続きをT先生にやっていただき、甲冑はいい感じの黒に光っている。今日の作業は胴部分の飾りであり、全体を引き締める効果となる金筋塗りからスタートだ。

慣れた手つきのT先生の金塗
塗る前にメンディングテープで養生をするのだが、これがテープを貼るだけのことながらカーブの部分など、イラッとする面倒な作業である。
はりおわると金顔料を溶いて塗りとなるが、金が厄介な代物で油断をすると黒塗り部分に付いてしまうのだ。ということでT先生が三人分を塗ってくださった。少し間を置いたのちテープ剥がし、時間が経つと黒塗り部分を剥ぎ取ることになるとのことでアタフタとした作業が続く。当然ながら油断大敵、下手すると金が黒部分に付いてしまう。 ひたすら穴あけ行程のポインティング
毎度のことながらせわしない、かつ慎重さの求められる作業の連続だ。気を抜くと仕上がりに関わる、なにやら行に励んでいるかのような心もちがせぬでもない。
さて、塗りが終わったら次の工程は縅糸を通す穴開け位置のボインティングだ。これが兜の数倍の作業量!千枚通しを片手にひたすら穴開け、文字通り行そのままだ。とはいえ、本チャンの穴開けはT先生がドリルでやってくださる。ありがたいことだ。
そんなこんなで今日の作業は終了した。翌週はいよいよ縅糸を通す作業になる。兜のときに一番手こずったのが、実に縅糸工程であった。甲冑は兜の数倍の作業量!次回はひたすら世俗を忘れて糸通しに没我する行だ。甲冑教室の真骨頂は、普段ならまずすることのない作業をひたすら繰り返す行にあるのではなかろうか。