2011年05月14日

天空農園から、若狭を経て敦賀へ

篠山市の南端に位置する弥十郎ガ嶽を越えたところにある後川新田原集落に江戸時代の古民家を活用した「農文塾」があった。しかし、家屋の傷みが激しくなり、昨年より新たな再生化プロジェクトが進められ「天空農園」として生まれ変わったという。そのオープンセレモニーがあり、縁のあるところが企画されていることもあってイベントにお邪魔してきた。

天空農園 なんともノスタルジックな佇まい

久しぶりに訪ねた後川集落は、羽束川の美しい清流、周囲を取り巻く山々と木々、谷筋に拓かれた田畑などなど、失われつつある日本の原風景を今もとどめたところであった。再生された古民家は集落の庄屋をつとめたという旧家で、円山応挙ともゆかりがある歴史を有するといい、集落を見下ろす位置を占める立地は戦国時代の土豪館は「斯くや」と思わせる雰囲気をまとっている。いろんな意味で、面白いプロジェクトが動きだしたものである。

今日の丹波篠山は快晴、ひさしぶりに吸った田舎の空気は新鮮、後川新田原は少し不便なところではあるが、機会をみつけて篠山側の辻集落から弥十郎カ嶽越えで訪れてみたいと思っている。後川の古民家再生イベントを辞したのちは、若狭経由で敦賀への移動である。

 若狭では、今年の大河ドラマ「江−浅井三姉妹−」の一人京極初にゆかりの常高寺と京極氏が築き、酒井氏の代々が居城した小浜城を訪ねた。
常高寺は国道27号線のすぐ傍らにあり、境内を小浜線の線路が分断しているという、なんとも忙しない環境に存在している。また、すぐ東方の山上には中世若狭を治めた武田氏の居城後瀬山城があり、戦国時代から江戸時代までの歴史を探索できるところでもある。以前に訪れたときは、NHK朝ドラ「ちりとてちん」ブームのときで何処に行っても「ちりとて」であったが、今回は「江−浅井三姉妹−」の旗が随所に立っている。まことにブームというものは賑々しく、儚いものというしかない。
常高寺後方の山腹にたたずむ「初」の墓は立派な宝篋印塔で、見る者を威圧する大ぶりなものながら均整のとれたいい姿をみせていた。なんとなく寂しげな空気をまとっているように感じたのは、こどもに恵まれなかった初の生涯ゆえであったのかも知れない。大河ドラマの主人公である「江」、その姉で太閤秀吉の側室となって秀頼を生んだ「茶々」、そして三姉妹のなかではもっとも平穏な生涯を送ったと思われる「初」、三姉妹の幸・不幸をにわかに論じられないが三者三様に幸薄さを感じてしまうのは、常高寺の初の墓所で感じた寂寞感と無縁ではなさそうだ。
 

常高院墓所 初(常高院)の宝篋印塔

小浜城は海辺の水城といった佇まいで、往時を物語るものは本丸周辺の石垣ばかりである。城内は藩主酒井氏を祀る小浜神社が鎮座し、周辺には常高寺と同様に「江−浅井三姉妹−」の旗、ポスターが目を惹く。城址の石垣はなかなか立派なもので、とくに天守閣址に続く折れをもつ城道と石垣は見ものであった。天守閣址からの眺めは抜群で、南方には武田氏時代の後瀬山城址から近江へと続く山々、南側には若狭湾の水面が広がる、かつて三層の天守を中心に多聞櫓・隅櫓が立ち並び、それを取り巻くように広がっていたであろう武家屋敷群の姿を想像すると、まことに美しい城下町であったことだろうと思われた。

小浜城址天守石垣 小浜城址天守へ
小浜城址の石垣 (左:本丸址 ・右:天守への登り道)

小浜藩は佐幕派であったことから、幕末から明治にかけての舵取りは困難を極めた。明治維新ののち、小浜城は失火によって大部分の建物を焼失し、残存していた天守も撤去され空しく石垣を晒すばかりとなった。聞けば、小浜城の昔日の偉容を蘇らせようと「小浜城天守閣復元整備計画」が進められているという。天守閣に登った印象としては、石垣もしっかりしていて実現は夢物語(予算捻出が難しいかも)ではないように思われる。実現への道は険しいことと思われるが、いい加減なコンクリート造ではなく、考証をしっかりとした木造による天守閣の復活を願っている。

小浜と敦賀を結ぶ自動車専用道路は現在工事中であり、もっとも海辺を通る国道162号線で三方まで、そこから国道27号線で敦賀を目指した。162号線からの眺めは抜群で、途中にある棚田や高見の展望台からの眺めなど絶好のドライブコースであった。面白かったのは、三方湖に面する若狭町一帯において梅が栽培されていたことだ。あとで調べてみると、若狭町は江戸時代の天保年間からの歴史を有する福井梅の産地で、生産量は全国三位、日本海側最大の産地と知って驚いた。こういうことを発見するのも、きままな旅の楽しさだ。
敦賀のホテルは国道27号線バイパス沿いにあり、対面には「王将」が…。晩御飯は迷うことなく王将に決定、定番の「ビール二本に餃子二人前」を注文、ついで天津飯・酢豚・固焼きそばをたのむ。王将のボリュームはすごい、なんとか食い終わって支払はといえば「2980円、安い!」ということで、幸せな気分で敦賀の夜は更けていったのである。
posted by うさくま at 07:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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