2009年02月24日

本箱の片隅からお宝本を発見

先日、ズッと以前に古本屋で購入していた『城と国家』という本を本箱の隅で発見した。哲学者で京都大学名誉教授の上山春平氏の著書で、副題が「戦国時代の探索」というものだ。「城」「戦国」という言葉に惹かれて買ったものだろうが、ザッと流し読みしただけで忘れてしまっていた一冊だ。
ここ二〜三年、関西の戦国山城を経巡っているが、城址探索において縄張り図の有無がいかに重要かということを実感。そして、みずから輪張り図作成を試みてみて、その作成がいかに難しく、独自の才能が必要なものであるかということを痛感した。ちなみに、むかしの刊行物はさておき、城址探索資料のエポックメーキングな出版物となった『日本城郭大系(新人物往来社:1980刊行)』の縄張り図と、それからのちに発刊された『図説中世城郭事典(新人物往来社:1987刊行)』に収録された縄張り図を見比べると、その仕上がりの飛躍的な進歩に驚かされる。以後、自治体による遺構調査など戦国山城の研究が進むにつれ、さまざまな城址の縄張り図が作成され、手軽に入手できるようになった。山城ファンにとっては、まことに嬉しくありがたい状況である。

城と国家

『城と国家』を改めて読み直してみると、上山春平氏が現在に通じる山城研究の先駆者の一人で、1981年当時において縄張り図の重要性を指摘されていることを知った。まことに迂闊なことだが、山城の探求方法というか楽しみ方というかがよく理解でき、山城への嵌り方も通じるところがあって面白く読めた。なかでも「京都の山城を探索する」と括られた嵐山、如意ヶ嶽、北白川など京都周辺にある山城の話は、実際に登るうえでも非常に参考になった。また、中世山城研究の第一人者というべき村田修三氏、滋賀県の中世城館悉皆調査にあたられた中井均氏との出会いなど、山城ファンは上山氏が敷かれた中世城郭研究の道筋を歩いていることを思わせるに十分な一冊だ。
ヒトというものは、すぐ近くに素晴らしいものがありながら気づかない・・・いい加減というか間の抜けたことだ。いま、『城と国家』を繰り返し読んでいるが、山城探索における歴史的視点の重要性、雑木に埋もれた城址から往時の城の姿を再現するうえでの縄張り図の重要性を教えられている。山城に嵌っているいまにおける『城と国家』との再会は、まるで何かに導かれたのではないかとすら思わせる。表紙のイラストが北白川城址の縄張り図であることに気づいたのは、実際に登った翌日の昨晩であった。
屋根裏部屋の段ボール箱に放り込んだままの本、本箱の隅に追いやっている本の中に、お宝本が埋もれているのでは?と思われ、一度、じっくり虫干しをしてみようかなどと考えている。でも、ホコリがすごいだろうし、ウサは嫌がるだろうな・・・きっと。  by kuma
posted by うさくま at 16:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書
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