2019年04月21日

多紀郡の一角にあったという「消えた村」を探る

昨日の疲労が残った身体にムチ打って、
篠山の一角にあったという夙集落の名残という墓地探索に出かけた。
丹波新聞に取材記事が載って以来、気にかかっていた史跡だ。
行く前に、以前、丹波新聞社のアーカイブに上がっていた記事を
改めてチェックしようと思ったが既に削除されていた。
記事を見た時も「ありゃ、これは」と思ったが、やはりということか。

IMG_3464.JPG

ということで、記事の内容を思い出しながら場所を探したが
獣防柵に前途を遮られ行きつ戻りつしながら入り口を探すも見つからない。

IMG_3461.JPG

IMG_3463.JPG

ともあれ柵越しに潅木を掻き分け、汗みずくになりながら入口を探して
歩くことしばし、見つかった入口は老人ホームの裏側にあった。
目指す墓地は、入口より山中に伸びる山道の傍らに祀られていた。

a58384751_2024604037638165_3207348256572964864_n.jpg
夙集落の名残という墓所

記事では集落があったということだったが、墓地の周囲にそのような痕跡はない。
一方で、目をひいたのは、墓地の北側に穿たれた横掘状の地形、
土塁を伴っていて、どう見ても居館を防御する構えのようであった。

b57555529_2024604434304792_4348543890576375808_n.jpg
横堀と土塁痕、猪除?
b57421945_2024607094304526_1266701209822035968_n.jpg
墓所の後方に道

見回すと墓地の後方にかつての道らしきものがあり、西方に伸びている。
辿っていくと後方を岸切った平坦地が現れ、その前方には、
これまた横堀と土塁に見える地形が横たわっている。平坦地は意外な広さで、
区画ごとに横堀と土塁地形で防御され、城館跡とみたい構えである。

d57390225_2024605394304696_2814800117008171008_n.jpg
平坦地と切岸
e57964045_2024605744304661_8432260991034589184_n.jpg
さらに横堀と土塁痕

平坦地群は80戸あったという夙の集落跡にしては範囲が狭い、おそらく畑跡と
猪除けの仕掛けとも思われたが、城館遺構と見たほうが
腑に落ちるような・・・。歩き回るほどにそのように思わせる地形であった。

f58594800_2024606360971266_7325942888066449408_n.jpg
さらに平坦地と切岸
g57599619_2024606840971218_2924957786108329984_n.jpg
段状の平坦地

戦国時代、味間には味間氏という武家がいたことが中世史料から知られ
ひょっとして平坦地群は味間氏の居館跡だったのではないか?
夙集落の墓所跡には五輪塔の残欠もあり、味間氏にゆかりの
人々が形成した集落だったのでは?などと妄想されたことだった。
墓地跡、城館らしき地形の、さらに西方には味間氏が拠ったという
味間南城が残っている。味間という名字は篠山には残っていない
夙集落跡という一帯は幻の味間氏の歴史を伝えているのだろうか?

h58599011_2025817477516821_6508801260940951552_n.jpg
夙 の村の氏神だったという加茂神社の跡。
c57374797_2024605064304729_4464431114768875520_n.jpg
暮石の名残(多紀郷土史考にみえる「后妃塚」のようだ)

一方、墓地を探しているとき見つけた「加茂神社旧跡碑」と
その入口に多紀郡最古のものとされる宝篋印塔が残っていた。
加茂神社は夙集落の氏神だったといい、ということは夙の人々は
加茂族の末裔だったのだろうか。夙といいえば白土三平の「カムイ伝」に
描かれた被差別集落という理解がある。しかし、村の氏神、多紀郡で最も
古い宝篋印塔、墓地と離れたところに残る後妃塚などなど、
地図から消えた夙集落に対する偏見的理解は見直されるべきかも知れない。

なにげに思いたって探し求めた夙集落の墓地と城館を思わせる謎の地形、
そこは、意外に奥深い中世以来の歴史が眠っているように感じられた。
夙集落の歴史、併せて味間の歴史、ジックリと調べたいものである。


【追記
後日、ネット仲間から連絡がきまして、丹波新聞社の
「夙」の墓地への墓参を取材したアーカイブはまだ健在でした。

また、味間南城主は、平野氏であったという史料を発見。平野氏は
いまも一帯にいらっしゃいます。はたして味間氏と平野氏とが同族なのかは不詳。
そういう意味でも味間氏も消えた武家といえそうです。
posted by うさくま at 12:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史探索
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/185899776

この記事へのトラックバック