2019年03月21日

日吉町世木に続くという三苗(三姓)

かねて、参加応募していた「岩尾城登山会」が雨で流れ
さて、どうしたもんじゃろう?と思っていた。
せっかくなので、丹波の国衆に関する資料を整理しようと
古いスクラップブックを読み返していたら
日吉町世木に続くという三苗(三姓)の記事が目にとまった。

以前、亀岡市域の古い集落馬路の両苗、保津の五苗など
丹波には中世の地侍の系譜をひくであろう名字が伝来している。
日吉町世木の三苗は「湯浅」「吉田」「田尻」の三姓で
世木郷の一宮であった天稚神社ゆかりの家々という。

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残念ながら世木郷は日吉ダムの建設で水没
天稚神社も新たな鎮座地へと遷され、水没した村々に
続いていた三姓も故地を離れていったのであった。
日吉ダムあたりの地図を見ると、成就院というお寺に
新たに営まれたと思われる墓所を発見した。おそらく、
移転を余儀なくされた世木郷の家々の墓があるのでは?と確信した。
また、遷座したという天稚神社も川向にあることがわかった。

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ダム建設により遷座した天稚神社

「これは行かずばなるまい」と、相方を誘って出掛けていった。
せっかくなので、日吉町郷土資料館で刊行されている
「小林家文書調査報告書」も入手せねばと車を走らせた。
まずは、往路の傍らに鎮座する天稚神社に参拝、
境内の石碑を見ると湯浅さん、吉田さんの名字がズラリと刻まれている。
なるほど、天稚神社はいまも世木ゆかりの人々にとって氏神であり
パンフレットを見るとむかしと変わらぬ祭祀が行われているのことだった。

54727633_1837877296318324_3298662851878584320_n.jpg 成就院山門
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一石五輪塔など、中世のものであろう古い墓石群

日吉ダムを横目に見ながら資料館でにお邪魔して目的の刊行物をゲット、
今日のメーンターゲットである成就院へと移動した。
成就院は山間の寂び寂びとした空間のなかにあり、
真新しい墓石が並ぶ墓地が造成されていた。おりから、お彼岸の中日、
墓地には墓参の方がちらりほらり、いささか躊躇うところがあったが
せっかくここまで来たことでもあり失礼を承知で墓地に闖入した。

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細川幽斎にゆかりという湯浅家の九曜紋
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吉田神道との関係を連想させる吉田家の抱き柏紋
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吉田家の違い柏紋
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吉田家の並び柏紋
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宇多源氏ともいう田尻家の隅立四つ目結紋

足を踏み入れた墓地は、想定していた通り、湯浅、吉田、田尻など
かつて世木に暮らされていた家々のものと思われた。
なかでも、湯浅さんと吉田さんの墓石が墓地の六割近くを占め
それぞれ家紋は「九曜」と「柏」がズラリと打たれている。
両姓に比べると数は少ないが田尻さんも「目結」一色、かくして
古記録にもあわれる世木の三苗(三姓)に出会えたことだった。

・墓地の名字と家紋一覧
湯浅家、吉田家、井尻家が多数派であることが分かる
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なんとなく・・・

来年の大河ドラマは明智光秀が主人公の「麒麟がくる」で、
いま、丹波の地は大河の話題で賑わっている。しかし、その賑わいは
やれ観光だ、やれ町おこしだ といったもので、歴史と真摯に
向き合った結果の盛り上がりとは残念ながら思われない。
大河をにらんだセミナーなどでは「歴史で稼ぎなさい」などという
ワードをぶち上げた講師さんがいらっしゃったという。とんでもないことだ。
大河の旗印に軽薄に踊らされることなく、戦国時代を生きたであろう
地元(丹波)の名字群を改めて見つめ直す機会にならないものか。

今日の三苗もだが、丹波の各地に残る古い名字、それらの名字が
担っている歴史と、いまジックリ向き合っていかねば後悔するのでは?
日吉を往来した道々に立てられていた大河誘致の幟旗を見て
そんなことを考えさせられたことだった。戦後の社会変化のなかで
散散に経験したところの「失ったものは取り返せない!」をまだ繰り返すのか。
posted by うさくま at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史探索
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